私・・・日本軍が入ったのは印度の中のナガランドとい
う所で、そこには印度人ではなくナガ族という人種が
住んでいた。ナガ族は山岳民族で、山の谷間のあちこ
ちに部落を作っていたんだが、日本軍が入ると大抵ど
こかへ姿を隠してしまって、滅多に見ることはなかっ
たね。
しかし戦後、栃木県にアジア学院という農業指導者
を養成する学校が出来てね。そこへナガ族の人も毎年
何人かずつ留学に来ていることが分ったんだよ。それ
でその留学生達を毎年のように呼ぶことにしたんだ。
ビルマ英霊顕彰会というおじいさん達の会が中心になっ
てね。何故って、進攻作戦中、心ならずもナガの人達
の糧食を無断で頂戴したろう。そのお詫びと御礼とい
う積りなんだよ。
ナガの青年達はすっかり感激してね。彼らのおじい
さんから聞いた話として、日本の兵隊は非常に勇敢で、
規律も正しく、イギリスの軍隊を相手にしてよく戦っ
た。残念ながら日本は負けたけれど、お陰で印度は独
立出来たと言っているそうだ。何故あの時、日本側に
ついてイギリスと戦わなかったのかと、若者が老人達
に抗議したという記事がナガの新聞に載っているのを、
一度見せて貰ったことがあるが、ナガの人達は日本の
お陰でイギリスから独立出来たと思っているんだよ。
印度は昔から、イギリスの植民地から脱して独立し
たいと、何度も何度も試みたが成功しなかった。有色
人種は白人には勝てないと、半ば諦めていたんだよ。
日本が日露戦争で白人の国ロシアに勝った時、世界中
で一番喜んだのは印度だろうね。だから今度の戦争に
も、印度は非常に期待していたわけさ。
前ページ | 表紙目次 | 次ページ |