年 頭 所 感



会長  西田 將




新年明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願い申し上げます。

昨年は戦友連にとって、会の解散を決定した重大な節目の年でありました。そして会の有終事業の一環として『靖國募金』が実施されましたが、これが予期以上の成果を挙げて終了することが出来ましたことは、同慶の極みであります。

私はこの募金運動を通じて、皆様方の靖國神社に対する深い思いを痛切に感じました。そして、戦友連が過去三十三年間、(つつが)なく靖國運動を続けることができた根源がここに有ったことを、改めて確認した次第であります。誠にありがとうございました。






かくて今年は愈々(いよいよ)戦友連の終末を迎えます。翻って日本の現状を見るとき、長びく不況、政官界の汚職頻発、犯罪の凶悪化、不審船の出没等々、「明日の日本」を憂慮させる問題が山積しております。これでは私達は、会の解散を惜しんで感傷に浸っているわけにはまいりません。

だが物は考えようで、長年平和()けしてきた今日の日本には、(かえ)って危機感に満ちた現状の方がよいのではないでしょうか。現に昨年八月十五日の小泉総理の靖國参拝を取り巻く(かしま)しいばかりの報道戦は、若い世代の靖國神社に対する関心を高め、参拝者が前年に比べて倍増したと聞いております。

またアメリカの同時多発テロや武装不審船の領海侵犯、国内治安の悪化等は、国民の国防、治安に関する意識を急速に変えようとしております。






これを要するに、私達の運動は一見少しも前進していないようですが、長い眼で見れば山上の氷河のように、一寸、二寸とずれ動いていることは間違いありません。そして、やがては何かの弾みで雪崩となることを私は確信しております。

夜明けはもう遠くない。我々は残された一年を整斉粛々と、やるべきことを今迄どおりに進めてまいりましょう。希望を持って。


それにつけても、大切なのは皆様方の健康です。私達の世代が一人でも多く長生きすることが、日本の世直しを早めることにつながるからです。ご健勝を祈ってやみません。






平成14年1月25日 戦友連396号より


【戦友連】 論文集