「戦友連」の終末に当たって



会長  西田 將




戦友連も愈々あと十日で終末の日を迎えます。会報も今回が終りです。

そんな折りも折、福田官房長官の私的諮問機関である「追悼懇」が、去る12月23日、靖國神社に代わる国立の追悼施設を造る必要がある旨の、最終報告案骨子を発表しました。恐らく福田官房長官は、この答申を盾に、国立追悼施設の建設に動くでしょう。となると皆さん、『靖國問題』は今までにないピンチを迎えることになります。

もともと靖國問題は、戦友連という団体の有る無しにかかわらず、国民一人一人の問題です。我々はこのピンチに際会し、戦友連の解散をバネとして、今まで以上に靖國問題に関心を持ち、年はとったが出来ることはあるの精神で、前向きに取り組んでまいりましょう。戦友連の終末に当たり、私が先ず最初に申し上げたいこと、お願いしたいことはこれです。お互いに頑張りましょう。

次に申し上げたいことは、靖國問題は長期戦だということです。私は、この問題はまだ五十年も先にならないと解決しないのではないかと思っています。しかも、それには伝統の継承が前提です。我々には、戦前のよき日本の伝統を若者に申し継ぐ責任があるのです。我々の生命(いのち)は自分のものであって自分のものではないのです。「子は親の背を見て育つ」といいますが、皆様が明治・大正の日本人らしく生きられることは、只元気に生きておられるだけでも、若い者によい感化を与えること必定です。

次に申し上げたいことは、不肖の身をもって長い間会長を務めさせて頂いたことです。これ偏に会員皆様のご理解とご支援のお陰でございます。厚く御礼申し上げます。

顧みれば、三十四年の歳月は決して短くはありませんでした。多くの戦友が活動下され、亡くなられました。戦友連の歴史はこれら同志の足跡です。心から合掌申し上げます。

私は、長い伝統と文化を築いてきた日本民族の血を信じております。若者はきっと後につづいてくれるでしょう。日本は決して潰れません。遠いが先は明るいのです。さようなら。






平成14年12月25日 戦友連407号より


【戦友連】 論文集