侵略意図は全くなかった
支那事変





孫・・・大東亜戦争がアメリカに仕掛けられた戦争だと いうことは分ったけれど、どうも中国との戦争という のが分らないな。大東亜戦争は侵略戦争でないという 人の中にも、満州事変や支那事変は侵略戦争だったと いう人が多いのではありませんか。


私・・・そこが難しい所なんだな。支那事変は中国本土 の中で行なわれた戦闘行為だから、中国の一般民衆に とっては確かに迷惑なことだったと思うよ。その点、 心から同情するね。

しかし、この前も話したように、侵略とは、「正当 な理由なくして他国に侵入し、領土、財物を奪いとる こと」というのが定義だろう。日本が軍隊を中国に入 れたのもそれなりに理由があったわけだし、別に中国 の領土を奪おうとしたわけではない。日本はできるだ け早く戦闘行為をやめて、親日的な政権との間に和平 協定を結び、仲の良い隣人同志になりたいと願ってい たのだよ。この前も話したように、南京には重慶から 脱出して来た汪精衛の親日政権もあったし、何とかし て早く戦闘行為を終えたいというのが日本政府の本心 だったと思うよ。



孫・・・それなのに何故、長いこと戦争を続けていたの ですか。


私・・・それはね、アメリカやイギリスが蒋介石政権の 後押しをしていたからだよ。南京が陥落し、漢口が陥 落して、これでもう蒋介石政府は降参するだろうと思っ たのに、重慶にまで退いてまだ頑張っている。それは ビルマ・ルートと言ってね、印度からビルマの北部を 通じて、アメリカやイギリスの飛行機や武器、弾薬が 幾らでも補充される。蒋介石軍は参らないわけさ。



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